帰途に就く。
春の風は、びゅうびゅう強いけど、身をすくませるようなものがない。
伸びをしたいようなかんじ。
風ってなんだっけ。
どう身を置くんだっけ。
びゅうびゅう、すべてを吹き飛ばしたり。
そっとお夕飯のにおいを運んできたり。
びゅうびゅう。
そうだった。
私のなかにも風は通る。
息を吸う。
はく。
これが風のなかの身の置きどころか。
きょうは風が強いから、わたしの何かも、もっていってもらおう。
ことばにならない、何か。
そして何かを運んできてもらおう。
何か、は、風におまかせしよう。
ああ。
いいきもち。